ホワイトニング、どうせ戻る?
- 数日で戻ったように見えるのは、乾いた歯に水分が戻っただけです。24時間でほぼ元の見え方になります。
- 本当の後戻りは月から年の単位。ただし18か月後も2年後も、始める前より明るいままだったと報告されています。
- 3人に2人が「戻った」と感じています。直後のいちばん白い状態を基準に覚えているためです。
- やめても、始める前より暗くはなりません。続けなければ損をする性質のものではありません。
やっても、どうせ戻るのではないか。患者さんから上がる、よくある心配の声の1つです。
その通りでもあり、違ってもいます。色は戻りますが、始める前には戻らないようです。18か月後と2年後まで追いかけた研究が、そう報告しています。
01「戻った」には2種類あります
まず、ここを分けておきます。混ざったまま話すと、何が起きているのか分からなくなるためです。
- 数日で戻ったように見えるもの 乾いた歯が、元の水分量に戻った
- 月から年をかけて戻るもの もう一度、色がついていった
前者は失敗ではありません。順番に見ていきます。
02歯は、乾くだけで白く見えます
施術中、歯は乾きます。乾いた歯の中では、水が入っていた隙間に空気が入ります。光の通り方が変わり、白く不透明に見えます。
エビデンス:中 30名を対象に分光測色計で測った研究では、30分の脱水で、調べた歯すべてが「人が気づける色の差」を超えました。85%は「許容できる差」も超えています。そして24時間の再水和のあとは、90%が気づけない差にまで戻りました(Hatırlı 2021)。
エビデンス:中 ランダム化比較試験(20名)でも、再水和30分の時点では、まだ元の色に戻っていなかったと報告されています(Burki 2013)。
施術直後がいちばん白く見えて、数日で少し落ち着く。この落ち着きは、漂白が失われたのではなく、水分が戻っただけです。
※どちらも脱水そのものを調べた研究です。ホワイトニング後の色戻りのうち、何割が脱水によるものかを測った研究ではありません。
03本当の後戻りは、月から年をかけて起きます
エビデンス:強 30名を18か月追いかけたランダム化比較試験では、18か月後も、始める前より有意に明るいままでした。同時に、直後と比べれば後戻りしていたとも報告されています(Auschill 2012)。
エビデンス:強 92名を2年追いかけた二重盲検のランダム化比較試験でも、2年後の時点で、始める前より有意に明るいままでした(2年時点の来院は81名)。そして同じ研究で、各群の66%を超える方が「軽度から中等度の後戻りを感じた」と回答しています(Meireles 2010)。
戻った、と感じている人が3人に2人。それでも、測ると始める前より明るい。この2つは矛盾しません。人は直後のいちばん白い状態を基準に覚えているためです。
04戻りを速めるものは?
エビデンス:中 先ほどの2年間の研究では、後戻りの程度が着色性の飲食物の摂取量と関連していたと報告されています(Meireles 2010)。
エビデンス:中 喫煙については、40名(非喫煙者24名・喫煙者16名)を比べた前向き研究があります。非喫煙者のほうが白くなり、喫煙者は1日目から30日目にかけての暗くなり方が大きいという結果でした(Silva 2023)。
05では、追加の処置は必要になるのか
エビデンス:強 90名を割り付け、6か月追跡したランダム化比較試験があります(6か月まで完了したのは61名)。全群で6か月まで色調は安定しており、追加のホワイトニングが必要だったのは11.9〜16.7%でした(Pereira 2022)。10人のうち1人から2人ほどです。
ただし、経過は使う材料と濃度で変わります。この研究でも、ホームで16%過酸化尿素を使った群だけは、直後と比べたときに83.3%で色の戻りが感じ取れる程度に出ていました。
06やめどきについて
「いつまで続ければよいのか」を直接調べた研究は見つけられませんでしたので、ここでは研究から言えることだけを書きます。
やめても、始める前より暗くなることはありません。18か月後も2年後も、始める前より明るいままだったと報告されています。続けなければ損をする、という性質のものではありません。
気になったときにまた手入れをする。それで足ります。当院から定期的にお勧めの連絡をすることはありません。
07白くなりやすさには、そもそも個人差があります
ここまでは「どのくらいもつか」の話でした。その手前に、そもそも自分がどのくらい白くなるのかという問いがあります。
当院では、今の歯の色を色見本で測り、下の前歯2本だけを先に白くして確かめていただけます。結果を持ち帰って、おうちで決めてください。当日の勧誘はしません。
白くなりやすさには個人差があります。色の戻り方にも個人差があります。
- 数日で戻ったように見えるのは、乾いた歯に水分が戻っただけです。24時間でほぼ元の見え方になります
- 本当の後戻りは月から年の単位で進みます。ただし18か月後も2年後も、始める前より明るいままだったと報告されています
- 3人に2人が「戻った」と感じています。直後のいちばん白い状態を基準に覚えているためです
- 戻りを速めるのは着色性の飲食と喫煙。6か月で追加処置が要ったのは11.9〜16.7%でした
- やめても、始める前より暗くはなりません。続けなければ損をする性質のものではありません
- Hatırlı H, Karaarslan EŞ, Yaşa B, Kılıç E, Yaylacı A. Clinical effects of dehydration on tooth color: How much and how long? J Esthet Restor Dent. 2021;33(2):364-370.(臨床研究 n=30・分光測色計)PMID 32573090
- Burki Z, Watkins S, Wilson R, Fenlon M. A randomised controlled trial to investigate the effects of dehydration on tooth colour. J Dent. 2013;41(3):250-257.(ランダム化比較試験 n=20)PMID 23160038
- Auschill TM, Schneider-Del Savio T, Hellwig E, Arweiler NB. Randomized clinical trial of the efficacy, tolerability, and long-term color stability of two bleaching techniques: 18-month follow-up. Quintessence Int. 2012;43(8):683-694.(評価者盲検ランダム化比較試験 n=30・18か月追跡)
- Meireles SS, Santos IS, Della Bona A, Demarco FF. A double-blind randomized clinical trial of two carbamide peroxide tooth bleaching agents: 2-year follow-up. J Dent. 2010;38(12):956-963.(二重盲検ランダム化比較試験 n=92/2年時点81名)PMID 20709137
- Silva RR, de Carli JP, Della Bona A, Collares KF, Pecho OE, Meireles SS, Duarte Júnior JR, Benetti P. The influence of smoking on the effectiveness of at-home bleaching: A prospective clinical study. J Esthet Restor Dent. 2023;35(6):869-877.(前向き臨床研究 n=40)
- Pereira R, Silveira J, Dias S, Cardoso A, Mata A, Marques D. Bleaching efficacy and quality of life of different bleaching techniques — randomized controlled trial. Clin Oral Investig. 2022;26(12):7167-7177.(ランダム化比較試験・90名割付/6か月追跡完了61名)
